歴史
日本では古くから、タラソテラピー(海洋療法)という、海水や海洋抽出物の持つ回復特性を活用した療法において、海藻が珍重されてきました。江戸時代(1603年~1868年)には、沖縄や九州の沿岸地域の人々は、すでにホリスティックな健康習慣の一環として、紅藻類を採取していました。輝くような若々しい肌で知られる日本の女性たちは、伝統的に海藻抽出物を美容法に取り入れ、肌を鎮静し、潤し、若返らせていたのです。
科学
紅藻の一種であるカッパフィカス・アルvarezii(シーモス抽出物)がスキンケアにおいて優れた効果を発揮するのは、その独特な分子構造、特に天然に存在する硫酸化多糖類(中でもカラギーナン)が豊富に含まれているためです。肌に塗布すると、これらの多糖類は柔らかく通気性の良い膜を形成し、水分を閉じ込め、経皮水分蒸散を防ぎます。この保護膜が肌に潤いを与え、ふっくらとした見た目をもたらすため、乾燥やバリア機能が低下している方に理想的な成分となります。実際、「Marine Drugs」誌に掲載された臨床研究では、カッパフィカス抽出物配合の製剤が、わずか2週間で肌の水分量を最大28%も改善したと報告されています。
水分保持力に加え、カッパフィカス・アルvareziiは強力な抗酸化物質源としても機能します。ポリフェノール、フラボノイド、そしてビタミンA、C、Eといった天然の複合成分を含んでおり、これらはすべて酸化ストレスやフリーラジカルによるダメージと闘うことが知られています。これらの抗酸化物質は、環境からの攻撃因子を中和することで、早期老化を防ぐ上で重要な役割を果たします。4週間の臨床試験では、カッパフィカス抽出物の定期的な塗布が、目に見える小じわやシワを最大19%も減少させることが示され、アンチエイジング有効成分としての可能性を示唆しています。
さらに、最近の日本の研究では、この紅藻の予期せぬ利点が明らかになりました。それは、皮膚のマイクロバイオームをサポートする能力です。カッパフィカス抽出物の局所塗布は、バリア機能を高めると同時に、皮膚常在菌のバランスを維持するのを助け、赤みや炎症といった一般的な過敏症状を軽減することが示されています。このため、汚染やストレスが皮膚の自然な防御機能を容易に乱す都市環境に住む人々にとって、特に価値のある成分と言えるでしょう。
持続可能性も、カッパフィカスがクリーンビューティーブランドの間で支持を集めている理由の一つです。日本の栄養豊富な沿岸の管理された海洋養殖場で栽培されており、肥料や農薬を必要とせず、過剰な栄養素を吸収することで海洋を浄化するのにも役立っています。
参考文献
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- Shafie, M. H., Kamal, M. L., Zulkiflee, F. F., Hasan, S., Uyup, N. H., Abdullah, S., ... & Zafarina, Z. (2022). Application of Carrageenan extract from red seaweed (Rhodophyta) in cosmetic products: A review.Journal of the Indian Chemical Society,99(9), 100613.